トゥーラ
トゥーラはメキシコシティー北西約65キロの地点に残るトルテカ族の都だ。トルテカはテオティワカンが滅んだ後、10-12世紀ころにメキシコ中央高原の大半を支配した部族で、戦士集団に主導された強大な帝国を作ったといわれてきた。しかし、長らくその実像に関しては論争が続いているようだ。トルテカとトゥーラの威光は後のアステカなどの諸部族によって語られたが、有名なエピソードとして、トルテカの王トピルツィンが内部抗争に破れて、都を追われたというものがある。この王は羽毛の生えた蛇=ケツァルコアトル神を信仰していたが、軍神テスカトリポカを重視する戦士集団との抗争に破れて追われたという。伝説上、トピルツィンはケツァルコアトルと同一視されていた。ケツァルコアトルは人間の生け贄を欲していなかったといわれていた。「一の葦の年」に「かならず戻って来る」と言い残して南に去ったという伝説が、アステカ族をして、スペイン人をケツァルコアトルの帰還だと誤解させた(奇しくも予言の年だったため)という。一方、遥か離れたユカタン半島には、西からやって来た「ククルカン=羽毛のある蛇」とよばれる人物について語る伝説がある。古典期末期のチチェン・イツァーの支配者となった者の話だ。時代的にも一致するし、チチェン・イッツァーの建造物にはトゥーラのそれとほぼ同じといっていい様式のものが多々あるため、トルテカ族の一部がマヤ文化圏に入り、チチェン・イツァーを征服したのだと考えられてきたが、最近はこれにも異論が多いようだ。両者の間には明らかに強い結びつきがあるが、そもそもトルテカをそれほどまでに強大な力をもった政治的実体と考えるべきなのかどうかということにも意見の一致をみていないらしい。
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Ball Court
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