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Hill o' Many Stanes
STONE ROWS
Caithness, Highland
ND 295 384

その名も「石だらけの丘」ハイランドの東部、ケイスネスの南海岸にほど近い丘の上に、約250ほどの小ぶりな岩がほぼ南北に22列のライン上に整然と並んでいる。かつては600ほどの岩があったとみられている。フランスのカルナックの列石のミニチュア版のような遺跡だ。岩はどれも一抱えほどの大きさなので、巨石とも言い難いが、時代的には巨石文化の産物。数多くの巨石遺構の調査を行い、大陸の巨石文化とブリテン島、アイルランドの巨石の多くに、共通の長さの単位、「巨石ヤード」ともいうべきものがあると主張したアレクザンダー・トムは、カルナックやこの遺跡を、太陽や月の運行を詳細に観測するための観測所と考えた。石を並べたラインを軸に、それぞれの石を目盛り代わりにし、詳細な位置の確認をしたのではないかという仮説だ。しかし、彼がカルナックで「天体観測の基準点」と考えていた大きな岩は、本来複数の岩を組み合わせた構造物の一部だったことがわかり、重要な論拠を失ってしまった。この遺跡に関しても、近くに似たようなものが20ほどあったことがわかってきたため、天体観測所と考えるには合理性でない。