国領北アイルランドのティローン州に残るベッフモアの遺跡は際だって個性的だ。1940年代初頭に泥炭を掘り出している最中に、地中から発見された。ベッフモアはティローン州の北東の山の斜面に広がっているが、この付近は泥炭層の毛布をかぶったようになっていて、遺跡は完全に埋まっていた。岩はひと抱えほどの小さなものが多いが、数は軽く1000個を越える。サークルが7個、うち6つはペアで配置され、残りのひとつは内側に数百もの岩がぎっしりと、おろし金の歯のように詰まっている。3つのペア、独立したひとつのサークルはそれぞれ小さなケルンをともない、さらに石の列が北東─南西方向に尻尾のように延びている。夏至の日の出、あるいは冬至の日没方向だ。現在は視界の開けた場所にあるが、堆積した花粉を調べると、遺跡が造られた当時は周囲に森林が多く、日没点が明確でなかった可能性が高いという。