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モントローズ博物館にあるこの石はInchbrayochで発見されたクラス3の石碑だ。表の十字架は渦巻き模様の破綻している、なんとも素人くさい仕事で、明らかに Glamis Manseなどと同時代にそれらの意匠をまねて作ろうとしているのだが、この技術水準の不均衡がピクトの石碑らしいところだ。旧約聖書のサムソンとデリラの物語が彫ってあることで知られている。表の左下は不思議な生きものが描かれていてよくわからないが、右下はサムソンの力の源である髪の毛を切るデリラの姿で、頭部は獣になっている。裏面の下もサムソンの話で、力を取り戻したサムソンが動物のあご骨でペリシテ人を倒す場面。右は妊娠しているサムソンの母という説と死んだペリシテ人の姿という説と両方ある。裏面上部は狩りのシーンだが、左側に体の長い奇妙な生きものが描かれている。