メノウは中国名で、「瑪瑙」と書く。でこぼこした表面の石の塊を切ると赤みのあるベースに白っぽい渦のような模様が現れるところが馬の脳に似ていることからこう呼ばれるようになったという。 |
オニキス, オーストラリア |
カーネリアン, 北海道今金町花石 |
ジャスパー, 北米オレゴン州 |
●メノウの種類 ●縞メノウ |
Laguna Agate |
Agate from Uruguay |
Botswana Agate |
●プルーム・アゲート メノウの模様で、羽毛のような、あるいはシダ、花のような形のものをPlumeとよび、このPlumeがメノウの主な面積を占めているものをPlume Agate(プルーム・アゲート)と呼ぶ。プルームはカルセドニーのベースの中に立体的に、まさに植物が伸びるように、あるいは羽毛が生えるようにして並んで入っていることが多い。プルームは個々のメノウの中で偶発的に出来るのではなく、特定の産地でまとまった量が形成されるのが通常だ。つまり、縞メノウなどはほとんど無く、プルーム・アゲートばかりが採れる産地というのがあるわけだ。北米には様々なタイプのプルーム・アゲートがあるが、色、形の美しい「銘柄」は大変人気がある。特に有名なのはPriday Plume、Carey Plume、Graveyard Point Plumeなどで、主にカボッションなどに加工され、アクセサリーなどに多用されている。 |
Plume Agate |
Plume Agate |
Plume Agate |
●モス・アゲート メノウの中に鉄、マンガン、ルチルなど他の鉱物の細かい混入が見られるものをInclusion=インクルージョンと呼ぶが、様々なインクルージョンの色、形はメノウに非常に多くのバリエーションを与えている。石の中に藻が、あるいは苔が閉じこめられているのではとも見えるのが、モス・アゲートで、これはインクルージョンとしては最も多いタイプで世界各地のメノウで見られる。美しいモス・アゲートばかりがたくさん採れる場所もあれば、縞メノウの中に部分的に入っている場合もある。インドの緑色のモス・アゲートはベースの透明度も高く、モスも細かくて非常に綺麗なので、器などにも加工される。北米ではHorse Canyon Mossという有名な銘柄がある。オレゴンのサンダー・エッグにもモスが多くみられる。近年見みつかったものとしてはハンガリーのものも非常にカラフルで人気が高い。非常に細いモスをフィラメント・モス、また、モスの周囲に淡い透明な縁取りがあるものを、教会の飾り窓になぞらえてカテドラル・アゲートと呼んだりもする。 |
Moss Agate |
Moss Agate |
Cathedral Agate |
●デンドリティック・アゲート 石の中に木が生えているかのように見えるインクルージョンがあるものがデンドリティック・アゲートだ。樹状のものは鉄やマンガンなどの金属であることが多いが、これも様々な産地のメノウにみられる。デンドリティーはメノウの縞と縞の層の間などに平板に伸びていることが多いため、模様のすぐ際まで削らないと見えず、多くが薄いカボッションなどに加工されて流通している。有名な銘柄としては、インドのCambayのものは形が非常に綺麗だし、カザフスタンのデンドリティック・アゲートには独特な奥行きがあり、まるで冬枯れの風景画のように見える。この特徴を生かして、デンドリティック・アゲートと他の色のメノウを切って貼り合わせるなどして「絵」に仕上げていく工芸をIntarsiaと呼ぶ。北米ではモンタナ・アゲートにもデンドリティックなものが多くあり、風景のように見えるものは大変高価だ。 |
Dendritic Agate, India |
Dendritic Agate, Kazakhstan |
Dendrities in Amethyst Sage, USA |
●チューブ・アゲート ●セージナイト・アゲート メノウの中にストロー状の構造のインクルージョンが見られるものをチューブ・アゲートと呼ぶ。このストロー、チューブはルチルなどの細い鉱物の針の周囲にメノウの層が出来たもので、ほとんどの場合、その「芯」であった鉱物は消えて無くなっている。様々な産地のメノウに見られるが、堆積岩タイプのメノウにはほとんんど見られない。ユニークなものとしてはチェコのHorni Halzeのチューブがジグザグに入ったものが有名だ。また、細い針状の鉱物の結晶が束になって放射状に伸びているインクルージョンをセージナイトと呼ぶ。Laguna Agateのフォーティフィケーションの外側に球状のセージナイトが付いているというのはよくあるが、全体がそうした細い針状の構造で埋まっているものをセージナイト・アゲートと呼ぶことがある。 |
Tube Agate |
Tubes in Horni Halze Agate |
Sagenite |
●仮晶=pseudomorphs |
Polyhedroid, Paraiba, Brazil |
pseudomorphs, Coyamito Agate |
pseudomorphs, Germany |
●サンダー・エッグ 球状の団塊の中でメノウが放射状に形成されたものがあり、北米ではこれをThunder egg=サンダーエッグと呼ぶ。北米のオレゴン州の先住民の伝承で、二人の山の神が喧嘩して互いに雷とともに投げつけたのがこの石だといういわれだ。ゴツゴツした無骨な外見の石の中に星形にはじけたピカピカのメノウが入っているので雷のタマゴと考えられていた。学名はlithophysae(ラテン語で石の泡という意味)で、オレゴン州以外では、ニューメキシコ州のBaker Mine Thunderegg、東ドイツのサクソンのサンダーエッグ、フランスのカンヌの近くにあるEsterelで採れるゴルフ・ボール位の大きさのエッグ、オーストラリアのクイーンズランドのエッグなどが有名だ。オレゴン州には数十もの種類のエッグがあり、メノウでなくジャスパーが詰まっているもの、オパールが詰まっているものもある。メノウにはインクルージョンが多く、プルームやモスも見られる。 |
Thunderegg外観 |
Thunderegg, Saxony, Germany |
Thunderegg, Oregon, USA |
●その他の特徴
|