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Perthの博物館にあるレプリカだが、かなり精巧にできている。おそらく現物から直接型をとったのだろう。十字架の面は方形の腕が付いた十字の内部に渦が彫られた突起、雷紋、組み紐紋様が彫り込まれている。中央のやはり方形の部分にはかつてDupplinの十字架のような円盤状の飾りが付いていた痕跡があるが、何故か削り取られている。周辺には動物と天使が彫られている。シンボルの面はさらに面白い。魚の尾を持つヘビが二対縁取りをする中、上部に二人の椅子にかけた向き合う人物像。それぞれには、「ゾウ」、ダブル・ディスク、三日月にV字棒というシンボルがそえられるようにして彫られている。二人の中央には背の低い十字架があるので、この二人を聖アントニウスと聖パウロと見る向きもあるようだが、ピクト人かもしれない。中央の騎馬像には再び三日月にV字棒、「ゾウ」のシンボルが添えられている。このように同じシンボルが一つの石版に2度現れるケースは他に見られない。下にはハンマー、鉄床、ハサミと、鍛冶屋の道具が並ぶ。この石碑のシンボルの使われ方を見ると、シンボルが人物の出自、あるいは所属を示すシンボルであるかのように見える。面白いのは上部の二人のそれぞれが持つシンボルの両方の要素を中央の騎馬像が持っているということだ。ここになんらかのストーリー性が感じられる。